今日はエフェクターの話でもギターの話でもなく、ベースについてです。
しかも、ヴァイオリンベース!
グレコのバイオリンベース VB-90の中古を入荷しましたので、当方所有のヘフナーの ’62 Vintage Reissue と比べてみようと思います。
今日は大量に写真を掲載していきますよ(15枚)。写真の合間に2つのベースの弾き比べのビデオも入れますので、音の違いを聞いてみてください。
例によって、写真をクリックしてもらうと大きい写真が別フレームで見れます。
それでは始めます〜 (今日はとっても長いですよ〜)
左がHofner ’62 Vintage (2010年ドイツ製)、右がGreco VB-90 (2002年日本製)です。
HofnerのヴァイオリンベースKarl Hofner 500/1はご存知の通りポールマッカートニーの使用で有名ですが、ウォルターヘフナーにより1956年から製造されているモデルです。
グレコのVBシリーズは1966年頃から2010年まで販売されたロングセラーモデルです。VB-90は2007年に値上げされVB-100という型式に変更となりました。
なお、VB-90には0フレット仕様とナット仕様の両方があり、今回入荷したものはナット仕様のものです。
別の角度からさらに3枚
この2台、色も形も細部もいろいろ違いますが、2台並べてではなく、1台づつ別々に見せたら、ビートルズに詳しくない人には同じ楽器に見えるかもし れません。そこで、自宅で実験してみました。ソファでヘフナーを弾いた翌日、今度はグレコをソファで弾いていたところ、妻は違うベースを弾いていることに 全く気がつきませんでした。さすがに子供は鋭く、小1の娘が、「あれ、ベース変えたの?」と聞いてきました・・・ 妻に内緒で楽器やエフェクターを買って も子供にはバレてしまうので怖いです、ホント(笑)
見た目の違いは、色、ペグ、ピックガード、コントロールパネル、ピックアップ、テールピースの長さなどいろいろ違います。
重さはヘフナーが2.3kg、グレコが2.5kgとヘフナーの方が少し軽いです。いずれにしてもバイオリンベースを持ったあと、ソリッドギターを持つとやけに重く感じます。
ネックとボディとのバランスはヘフナーの方が安定しているように感じます。
ボディはグレコの方が若干幅広ですが、厚みはヘフナーの方があります。
ネック厚はヘフナーの方が厚くかまぼこを握った感じです。定規を当てて簡単に計測したところ、1F付近で22mm程度、6F付近で25mmぐらいでした。グレコは1F付近で17mm程度、6Fで20mmくらいの厚みでした。
ネック幅はヘフナーが0フレット付近で42mm、17Fで49mmになるのに対し、グレコは0フレット(ナット部)で焼く39mmでこれがハイポジションに行くとヘフナーと同じ49mmになります。
こちらはボディの写真
グレコのコントロール部のパネルはヘフナー62年のものと向きが違います。
グレコのジャック部はボディに直接ではなく、黒いプレートに取り付けています。(VB-90では白色のプレートのものもあります)。なお、このヘフナーのジャック部のワッシャーは赤ではなく銀色でした。
ヘフナーのネックジョイント部
ストラップピンとプレートが可愛いです。
このピンを留めているネジで気付かれたかもしれませんが、この’62年リイッシューに使われているネジは全てマイナスネジです(笑) こだわりに脱帽します。
そしてヘッドの写真
ヘフナーは2連式オープンギア、グレコはクローズドです。グレコのペグにはMade in Japanとしか書いていませんが、以前別のVB-90ではGOTOHと書いてあるもの見たことがあります。このペグもゴトーなのかは判別が難しいですが、しっかりしたものです。
ちなみに2連式オープンギアのプレートもマイナスネジで留めてあります、、、
横から見たところです。グレコの方がネックやボディが薄いのが分かるでしょうか?
ちょっと見づらいかもしれませんが、ヘフナーにはネックサイドのポジションマーカーが打ってありません。ビートルズのビデオを見ていると、時々ポールが指板を覗き込んでポジションを確認していますが、こういうことだったんですね!
そして、これも写真で分かりにくいかもしれませんが、ハイポジションで指板がボディーの上に突き出す部分が違います。ヘフナーは17Fから、グレコは21Fから指板が突き出しています。
さて、簡単に音を聞き比べてみましょう。超短編ビデオです!!
VB-90は調整前で、しかもワウンド弦が張ってあります(ヘフナーはフラットワウンド)が、音の違いは感じてもらえると思います。生音とアンプを通した音を撮りました。
グレコのVB-90はセミアコらしさもありますが、コンプレッション感は弱めで、ヘフナーに比べるとずしんとした音がします。
ヘフナーはまさに「あの音」ですね。
ヘフナー期のビートルズをやるなら断然ヘフナーですね。グレコはもっと幅広いジャンルの曲ができると思います。しかし、そうなってくるとジャズベやプレベのように起用でオールラウンドなベースが出てきますので、グレコのバイオリンベースを使う意義が薄れますが。
しかし、僕はグレコのバイオリンベースはヘフナーのコピーとはいえ、オリジナリティ(コピー品に使うのは変ですが)があり、魅力あるベースだと思います。形が好き、グレコが好き、日本製が好きな人にはたまらないベースです。またミディアムスケールのベースの選択肢として捉えるのもいいと思います。
総じて、Greco VBシリーズは完成度も高く、古いものはジャパンヴィンテージとして評価できますし、ビザールベースファンにとってもオススメの1本であることに間違いありません。
追伸: グレコのシリアル番号について
グレコのシリアル番号は1995年以降、頭のアルファベットが工場名、以降は連番になると、何かのウエッブサイトにありましたが、神田商会に仕入れ先から問い合わせてもらったところ明確な答えは得られませんでした。というか頭のBやCの文字の次の2桁は製造年だという答えです。本品は2002年モデルで0フレット仕様でないものでC工場となっています。以前見た2002年モデルはB工場で0フレット仕様でした。ボディ色やジャック部のプレート色が違っていました。ヴァイオリンベースも長期に渡り大量生産されているので、シリアル番号が整理されていないのかもしれません。詳しい担当の方に当たれば明快な答えが返ってくるとは思いますが。
結びにオマケ写真です。
終わりまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
グレコの、75年製バイオリンベースを手にいれたのですが、ボディをたたいてみるとフルアコのようなきがします。グレコは、セミアコだといいますが、センターブロックはどのようにはいっているのでしようか?